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stack virtual-chassis-id とは
stack virtual-chassis-id とはアライドテレシスの機器でスタックを構成する際に設定する値です。この値をベースに仮想MACアドレスが生成されます。
バーチャルシャーシIDを10進数で指定する。この値はバーチャルMACアドレスの下位12ビットとして使われるため、同一ネットワーク上に複数のVCSグループが存在するときは、バーチャルシャーシIDが重複しないよう注意して設定すること
アライドテレシス コマンドリファレンス より引用
上記のように、同一ネットワークではバーチャルシャーシIDを重複させてはいけません。
何も知らずに重複させてしまった場合、以下に記すように切り分けが難しい状況になりかねません。
スタックしたL2SWでバーチャルシャーシIDが重複した場合の動き
ここでは拠点にあるスタック構成のL2SWがL2専用線で接続されてされており、バーチャルシャーシIDとしてどちらも127が設定されている状況とします。
切り分けの為にスタック構成ではないただのインテリジェントL2SW検証機も用意した想定です。
OK/NGはpingの可否を示しています。PCとスイッチが繋がっていた場合、PC↔スイッチ間でpingを行っています。
①がOKの理由
①はPC同士を直接専用線に接続しています。L2SWを経由していないので、ネットワークアドレスさえ一致すれば問題なく通信は通ります。
②がOKの理由
②は片方の拠点は専用線をPCに直接接続し、もう片方は専用線をvlan10に接続しています。この場合も、スイッチのvlan10のネットワークアドレスとPCのネットワークアドレスが一致していれば通信は問題なく通ります。
③がNGの理由
③の場合、PCからスイッチへのARPすら返ってきません。
PCからスイッチのARPパケットは宛先IPがスイッチ、宛先MACはFFFFFFFFFFFFなので、vlan10とtrunkにブロードキャストされます。よってスイッチまでARPパケットは到達していると考えられます。
スイッチはARPリプライを返すわけですが、その際に送信元MACを自分自身にします。それを受け取ったPC拠点側のスイッチは自分自身と同じMACアドレスを持ったARPリプライが入ってくるわけです。恐らく、この時点でフレームを破棄します。
MACアドレスが解決できないので、pingは失敗します。
④がNGの理由
④がダメな理由も③と同様です。トランクポートだろうがアクセスポートだろうがMACアドレスが重複していることは同じなので、MACアドレスの解決ができずpingは通りません。
⑤がOKの理由
⑤は検証用のスイッチを用意し、PC間でpingを行っています。
検証用のスイッチはスタックが組まれていないので、MACアドレスの重複がありません。全く問題なく通信可能です。
まとめ
この例は実際に私が経験したものでした。間に専用線を挟んでいるので、「もしかしてタグが流せない?」とか色々と話が膨らんだんですが、結局はMACアドレスの重複という初歩的な問題だったわけです。
皆さんもスタックを構成する場合は気を付けてください。