L2スイッチの選定方法

本記事ではL2スイッチの選定で考慮しなければならない要素について解説します。

まずスイッチは大きく分けて以下のような種類に分かれます。なお、これらの表現はベンダによって異なる場合があるので注意が必要です。

インテリジェントスイッチSNMPエージェント機能を持ち、遠隔からリモート管理できるスイッチ
ノンインテリジェントスイッチSNMPエージェント機能を持たないスイッチの総称
スマートスイッチノンインテリジェントスイッチの内、VLAN、QoS、認証などの機能を持つスイッチ
スイッチングハブ(一般的には島ハブ)ノンインテリジェントスイッチの内、VLAN等のほとんどのL2機能を持たないスイッチ

ポート数

L2スイッチ製品だと 8/16/24/48 ポートのダウンリンクと 2/4 ポートのアップリンク(SFPポート)の組み合わせの製品がほとんどです。

将来的な拡張性やポート故障に備えて、利用予定のポートにプラスしたポート数を備える製品を選定する必要があります。

ダウンリンクとアップリンク

ダウンリンクとは下位へと接続するスイッチのポートを指し、例えば島ハブやサーバと接続するポートはダウンリンクです。ほとんどのスイッチのダウンリンクは銅線で、今の主流は 1000Mbps のスイッチですが、未だに 100Mbps の製品も多いので注意しなくてはなりません。

アップリンクとは上位へと接続するスイッチのポートを指し、例えば上位スイッチやルータと接続するポートはアップリンクです。アップリンクには処理が集中するため、ダウンリンクより高速なポートを使用することが多く、アップリンク用のポートとして SFP スロットが用意されているスイッチが多いです。

SFP(Small Form-factor Pluggable)

SFP とは光トランシーバの規格の一つです。SFP スロットが用意されているスイッチがある場合、スイッチと別売りの SFP モジュールを購入し、スロットにモジュールを埋め込むことで光通信に対応することができるようになります。

1Gbps/10Gbps の銅線ポートと 1Gbps/10Gbps のSFP(光)ポートの両方がアップリンクとして存在し、排他利用するパターンも多くなっています。

同じ速度の銅線ポートが存在するのにわざわざ SFP モジュールを購入してまで光のアップリンクを用意する必要がある理由は、距離の問題です。

現在よく利用される UTP ケーブル規格の通信保障距離はほとんどが100mなので、アップリンクの先にある機器との距離が物理的に離れている場合は光で接続することになります。

スイッチの処理能力

スイッチの処理能力で重要なのが「スイッチング容量」と「転送レート」です。なお、これらの名称はベンダ間で統一されていないの、各ベンダでよく使われる名称も共に紹介しています。

スイッチング容量

スイッチ容量、バックプレーン容量、スイッチングファブリックとも表現されます。単位は bps (bit per second) で、この値が大きいほど単位時間内により多くのデータ転送が可能です。

全ポートの帯域幅が同時に全て使われた場合(そうそうないと思いますが)、スイッチがそれを処理可能かどうかを証明します。

例えば全ポートがギガビットイーサネットポートの8ポートスイッチの場合、「8×2×1G=16Gbps」のスイッチング容量があれば全ポートが同時にフルで使われても処理可能です。「×2」とは上り方向と下り方向を利用する全二重通信という意味です。

スイッチング容量が全ポートの総帯域幅以上の容量を持っていることを「ノンブロッキング」と表現します。逆に下回っていることを「オーバーサブスクリプション」と呼びます。

最近のスイッチはほとんどがノンブロッキングです。

転送レート

パケット転送能力、スループットとも表現されます。単位はpps (packet per second) で、この値が大きいほど単位時間内により多くのフレームが処理可能です。

スイッチング容量はあくまで1秒間に処理可能なビット量であり、制御プロセッサなどスイッチ内の他のモジュールにて1秒間で処理可能なフレーム数が少ないと、仕様どおりの転送速度は得られません。

スイッチではショートフレーム(48byte)であってもロングフレーム(1500byte)であっても処理時間はほとんど変わらない為、フレームの大きさで bps は変わってしまうと言えます。その為、1秒間に処理可能なフレーム数は重要な指標の1つです。

転送レートを計算する場合、以下の最小フレームサイズで計算します。

8byte(プリアンプル+SFD)+64byte(最小フレーム)+12byte(IFG) = 84byte = 672bit

ギガビットイーサネットの場合、1Gbps を最小フレームサイズで割ることで1秒間に転送可能なフレーム数(pps)を求めることができます。

1000,000,000bps ÷ 672bit ≒ 1,488,095pps

8ポートスイッチの場合、「1,488,095pps×8≒11,904,761」となり、約12Mpps の転送レートがあれば100%の転送が可能な計算になります。

最近のスイッチはほとんどが100%転送可能です。

PoEについて

最近では Web カメラや AP の影響で PoE スイッチの需要も高まってきました。PoE とはLANケーブルから電源を給電/受電する技術で、中継用の2ポートのみを備えるものを PoE インジェクタ、PoE に対応したスイッチを PoE スイッチと呼びます。

なお、PoE には IEEE 802.3af(PoE)と、IEEE 802.3at(PoE+)の2種類があります。大きな違いは最大供給電力の差で、 802.3af が15.4Wで、802.3at が34.2Wです。この2つには互換性があります。

802.3at 利用時の注意点

802.3af と 802.3at は互換性があるため、802.3at 対応の PoE スイッチに 802.3af にのみ対応している AP を接続しても問題はありません。逆に、802.3at 対応の PoE スイッチに 802.3at 対応の AP を接続するという、両方が 802.3at に対応しているパターンでは注意が必要です。

例えば 802.3at に対応している Ruckus の一部の AP は、同じく 802.3at 対応の PoE スイッチから受電するとパフォーマンスが低下するという事象が発生することがあります。

これは Ruckus 製品が電源供給量のネゴシエーションに独自のプロトコルを使用しているからであり、別ベンダの PoE スイッチとはネゴシエーションに失敗するので15.4Wで受電することにより発生する事象です。

Rucukus の場合は電源容量を固定値にすることで対応可能ですが、このような問題が発生する可能性があることは把握しておいた方がいいでしょう。

PoE機能を持つスイッチでは、「各ポート最大〇W、最大供給電力〇W」というようにカタログスペックとして表記されます。

8ポートスイッチで最大供給電力240Wという製品があった場合、1ポート当たり240÷8=30Wとなり全てのポートに PoE+ での給電が同時に可能ということになります。しかし、実際には8ポートスイッチだと最大65W程度の製品が多いです。

なお、PoEスイッチは Panasonic と Cisco が強く、上記の8ポート240Wスイッチもラインナップに存在します。HPE Aruba、Allied Telesis、Netgear には、2020年6月現在8ポート240WのL2スイッチは存在しません。

以上でL2スイッチの選定時に考慮すべき事項のご紹介を終了します。ご参考になると幸いです。

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