iStorage 構築の第5回目です。今回は論理ディスクをホスト (Windows Server 2016) へ割り当てていきます。




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iStorage AccessControl について
論理ディスクに対するアクセス制御を可能にするのは「iStorage AccessControl」というソフトウェアです。
「iStorage AccessControl」が無い場合、論理ディスクのアクセス制御ができないため、FC ケーブルを繋いだ時点で全ての論理ディスクにアクセス可能となります。
ただ、「iStorage AccessControl」は基本的に本体に標準バンドルされているものです。インストールや機能の有効化も通常はしません。出荷時点で有効です。よって、iStorage とサーバを FC ケーブルで接続した際のデフォルトのアクセス制御は「全ての論理ディスクにアクセス可能」ではなく「全ての論理ディスクにアクセス不可能」となります。
「iStorage AccessControl」は明示的にアクセス許可の設定をしない限り、サーバ側で論理ディスクが見えないようになっています。
また、「iStorage AccessControl」は LDセットという概念を取り入れています。LDセットとは論理ディスクのグループのことです。アクセス許可をする場合、論理ディスクではなく LDセットに対して操作を行います。
FC ケーブルの接続
FC ケーブルは大体こんな形をしています。
FC ケーブルはサーバの SFP ポートに挿入するんですが、黒い保護カバーが付いている場合があるので、引き抜きます。
ちなみに SFP モジュールにはレバーのようなものが付いていて、それを下した状態で引っ張ることで取り出すことができます。
接続すると下図のようになります。SFP モジュールのレバーが下りている状態だと FC ケーブルが奥まで入らないので注意してください。上がっている状態であればすんなり奥まで入ります(カチッという音が鳴ります)。
接続しないで
なお、FC ケーブルの接続は1台ずつ行ってください。理由は後述します。1台だけ接続されている状態で進めてください。
また、1台のサーバに iStorage と接続する FC ケーブルが2本(経路)ある場合でも、この段階では片方だけに接続してください。冗長化された FC リンクの制御を行う StoragePathSavior インストール前に両方に挿してしまうと、動きがおかしくなる可能性があります。
StoragePathSavior とは
StoragePathSavior は、サーバからディスクアレイへのアクセスパス上に障害が発生した場合、自動的なアクセスパスの代替を可能にするソフトウェアです。基本的には本体にバンドルされて光ディスクで納品されます。インストール先は iStorage と接続するサーバ(Windows、Linux、VMware)です。
「検証期間中で両方確実に接続されている前提だから、インストール前に両方繋いでおこう」と思ってしまうかもしれませんが、マニュアルによると「StoragePathSavior のセットアップが完了するまでは、サーバと iStorage を複数の経路で接続しないでください。サーバと iStorage が複数の経路で接続されている状態でサーバの電源を投入した場合、ファイルシステムに致命的なダメージを被る可能性があります。」と記載されています。
後述しますが、実際に StoragePathSavior インストール前に₂本接続したときは明らかに動きがおかしくなりました。StoragePathSavior インストール前に₂本接続するのはやめましょう。
StoragePathSavior をサーバにインストール済みの場合は両方に挿しても問題ありません。というより順番としてはそちらの方が正しいです。今回の内容は冗長構成ではない、もしくは「iStorage の論理ディスクがホストできちんと見えるか」「アクセス許可の設定どおりに動くか」といったことを StoragePathSavior インストール前に確認する。といった目的のための内容です。
もし「冗長構成かつ事前確認も不要」といった場合は以下の記事に進んでください。
ホストの登録
iStorage とサーバを FC ケーブルでつないだ後は、以下の手順でサーバ(ホスト)を登録します。
① 「構築」-「ホスト」-「ホスト操作」から「ホスト情報取得」をクリックします。
② 「ホスト情報を手動で作成する。」を選択して「次へ」をクリックします。
※説明に記載されているとおり、ホスト情報の自動収集を可能とするには当該ホストにソフトウェアをインストールする必要があります。今回はインストールしていないので、自動収集を選択しても何も情報を拾ってきません。
③ ホスト名とプラットフォームを入力します。その後「WWPN追加」をクリックします。
※なお、ここでいう「ホスト名」とは LDセット名のことです。サーバのホスト名を入力する必要はありません。ここで設定したホスト名(LDセット名)に対して、アクセスを許可する論理ディスクを後ほど紐づけていきます。
④ FC ケーブルと接続性があれば、下図のように自動で WWPN が認識されるので、「OK」を選択します。もし何も表示されない場合は「再取得」をクリックします。
※再取得を実行しても何も表示されない場合はサーバの電源が入っていることを確認して下さい。サーバが起動していなければ WWPN は拾えません。通電している程度では駄目で、起動が必要です。
※この時表示される WWPN は iStorage と接続しているホストポートの WWPN です。別ホストに繋ぐと識別する WWPN が変化しますし、同一ホストでもポート(ホストバスアダプタ)が違えば WWPN が変化します。
もしサーバ2台と接続していた場合、下図のように WWPN が2つ表示されます。どちらがどのサーバとの接続なのかを判別するにはホストバスアダプタに貼られているラベルを確認するしかないんですが、貼られていない(もしくは見えない場所に貼られている)場合があるので1台ずつの方が楽だと思っています。
「複数台のサーバが同じ論理ディスクにアクセスする(共有ボリューム)」場合は1つの LD セットに 複数のホストバスアダプタの WWPN を含ませることになります。よってそれらに関しては WWPN を区別する必要がなく一気に接続したいところです。それでも問題はありませんが、ホストバスアダプタごとの WWPN は識別して記録しておいてください(設計書等のため)。
⑤ 「実行」をクリックします。
今回はサーバが2台あるので2台目も同様に設定していきます。
ホストの設定変更・削除
ホストの設定変更・削除手順は以下の様になっています。
① 「構築」-「ホスト」-「ホスト操作」から「LDセット設定」をクリックします。対象のホスト(LDセット)を選択し、「設定変更」もしくは「削除」をクリックします。
② 例えば「設定変更」の場合、下図のようにホスト名(LDセット名)などが変更できます。
論理ディスクの割り当て
先程作成した LDセットに論理ディスクを割り当てていきます。
① 「構築」-「ホスト」から「論理ディスクの割り当て」をクリックします。
② ホスト(LDセット)と割り当てる論理ディスクを選択し「次へ」をクリックします。
③ 確認画面です。問題なければ「実行」をクリックします。
同じように残り2つの論理ディスクも割り当てていきます。
④ 割り当て状況の確認です。サーバ1号機、サーバ2号機の「コンピューターの管理」を確認すると期待した結果になっていることが分かります。
※もしボリュームが増えていない場合は「操作」-「ディスクの再スキャン」を実行しましょう。
StoragePathSavior 無しで冗長化された FC ポート両方に接続した場合
少し話は戻りますが、StoragePathSavior をインストールしていない状況でサーバの冗長化された FC ポートと iStorage を2本の FC ケーブルで接続した場合、下図の様に「割り当てているのに存在しない」「割り当てを解除したのに残り続ける」といった動きをする場合があります。
次回は StoragePathSavior をインストールしてきます。